私達が普段飲んでいる水、蛇口をひねれば当たり前の様に勢いよく流れ出る水。今回ご紹介する森松工業㈱は、そんな私達の生活を支える"水"のサプライヤーとして、工場・マンション・ホテル・学校などに備えるステンレス貯水タンクや圧力容器において国内シェア約70%を誇る、昭和22年創業の会社だ。
歴史と実績のある会社でありながら、会長から「ゴルフの出来んものは仕事は出来ん」と言わしめ、ゴルフ部は創設10年を数える森松工業㈱チームに、「会社のゴルフ部」としての取り組を中心に話を伺った。
取材:羽城(谷汲カントリークラブ)
森松工業㈱ 会長の松久信夫氏は中日クラウンズや東海クラシックなどのプロの試合に出場経験があるトップアマとして名を馳せた存在だ。出場当時は「ゴルフの出来んものは仕事は出来ん」と言わしめた程、ゴルフには大変理解があり、30年以上にわたり「森松杯」と称する年1回の社内コンペを開催し続けてきた歴史もある。
ゴルフ部は今でこそ規模も拡大し、創設から10年を数えるが、発足当初はどちらかというと社内サークル的な存在だったという。そんな中、実業団対抗ゴルフ選手権に参加するようになったことをきっかけに、ここ5年程は皆の力を集結する大きな目標が出来たことでチームは大いに盛り上がっており、年に2回開催される選考会における上位5名ずつ(2チーム参加)が代表チーム入りとなる仕組みも確立している。
専務である松久浩幸氏の話によると、ゴルフで集まる時は上司部下であっても必要以上に気を遣う事は一切禁止。各部署が集まるコンペでは和気あいあいの中にも真剣さが伺えるとの事であった。
また年間を通して、メンバーが自発的に集まる練習会を本社近くの練習場で随時開催している。練習ではより客観的に自分のスイングの欠点を理解し改善する事を目的に、言葉や感性だけではなく"ビジュアルで科学的に確認できるツール"である、「エムトレーサー」というシャフトに装備するセンサーと解析ソフトを活用しているという。
部員にゴルフを教えるにあたり、チームを率いる立場にある浩幸氏は自らの経験値を積むため、各務ヶ原CCで開催されている「岐阜オープンクラシック」のアマチュア予選競技に今年初めて出場した。結果は79ストロークで惜しくも予選落ち。途中まではカットライン上のスコアをキープしていたが16番のセカンドで攻め切る事が出来なかった。最後まで粘る事が出来たものの、技術面だけではなくメンタル面の重要性を自ら改めて認識した・・・、と振り返る浩幸氏の大きな身体と細やかな手振りから、ゴルフの大胆且つ繊細な部分を伺い知る事が出来た。
名古屋支店の山本支店長は、社内選考会やコンペの取り纏めを行っている。皆が集まる練習会では山本氏をはじめ、総務・設計・品証と、それぞれの部を束ね自分の練習より後輩の指導に時間を割いているのが印象的であった。
ゴルフの場では社内の事はあまり話さない。仕事上では互いの部門間で業務上意見がぶつかり合うこともあるが、コース内では会社の仲間としてゴルフを愉しむことを一番としているからだ。ただ、互いのコース攻略を見ると、人となりをうかがい知ることが出来る。「ゴルフは性格が出ますね。そう言った意味でもゴルフを通じての繋がりを大事にしています」と山本氏は言う。
森松工業のゴルフチームは、一昨年に代表取締役社長に就任した晃基氏と専務の浩幸氏、取締役の英夫氏の兄弟三人が中心選手となり各部署のゴルフ好き社員が運営を担う。練習ラウンドでも一緒にスイングチェックをしている光景が見受けられた。体格やスイングタイプは兄弟それぞれ異なるが、三氏は三本の矢の如く互いを尊重し合う姿が印象的であった。
森松工業㈱の業務は「新鮮な水を供給するためのインフラを支えること」だが、その理念は、ゴルフを通じて上司から部下へと脈々と流れている、三氏の愛情そのものとも重なっていると感じた。
去る6月6日(土)に第6回岐阜県実業団ゴルフ選手権は幕を閉じた。Aチームは団体戦269ストローク4位で15位までに与えられる決勝大会の切符を手にした。Bチームは団体戦284ストロークで19位であった。
少し安堵の表情の選手に、9月12日(土)開催の決勝大会の目標を聞いてみた。「西日本決勝大会での目標は、ベスト10に入ること。」
少し謙遜しているとも思えたが、地元開催の決勝大会での大いなる活躍を期待せずにはいられない。
<三重県大会>
第1回:団体 4位 / 個人:9位(玉井良明 選手)
第4回:団体 準優勝 / 個人:優勝(福田雅敏 選手)
第5回:団体 Aチーム 9位、Bチーム 20位
<東海決勝大会>
第1回:団体 7位
第4回:団体 40位
第5回:団体 25位(Aチーム)