「匠の心得」 〜 ゴルフに情熱を注ぐ、熱き男たちの物語
緒方 平慈 選手(本田技研工業㈱)
昔から勝負に対しては、人一倍こだわっていたんだと思います。
ゴルフを始める前は、2輪レースに夢中で、プロレーサーを目指していました。そう言う思いもあって、本田技研工業㈱に勤めることになったんです。
社員の半分はバイク好きでしたね。好きが嵩じてアマチュアの2輪レース「全日本グランプリ」で優勝したのを思い出します。願いが全て叶う訳でもないですが、誰よりも速くコースを走りたいと思った時の集中力が、今のゴルフに活かされているんだと思います。
25歳の時に知人に勧められて始めたゴルフはまだ100も切れずに、そしてプレー代も今よりずっと高かった。そんな長くは続けれないなと思い、一度はゴルフから遠ざかりました。
まだ2輪レースが楽しく、グランプリにも優勝し波に乗っている時で、次のステージにステップアップし走り出していました。しかし翌年、思わぬアクシデントがありました。レース中に大ケガをし右足を骨折。そのあと、2年間治療を受けながらレースを続けましたが思う様な成績も残せなかった。
そんなある日、鈴鹿の先輩である木山賢吾さん(レース界のレジェンド的存在)がレース中に亡くなられました。なんか心に穴が空いたようで、そのままレーシングスーツを脱ぎました。
それから20年後、妻との共通の趣味としてゴルフを再開しました。
今度は上手くなりたい一心で、シングルさんに付っきりで教えてもらいました。
前までとは違い、とても新鮮でゴルフもどんどん上達したのを思い出します。
やっぱりゴルフの基本をちゃんと教えてもらうべきだったと思いました。
そして非公認で立ち上げたホンダゴルフクラブは、私をはじめ4人でスタートしました。
この4人が、第1回実業団対抗ゴルフ選手権のメンバーとなり、以後毎回この選手権に出場するようになりました。今では社内メールを通じてクラブ員は37人を数えます。
皆、持ち前の負けん気で仲間と競い合い一番になってやろうと続けていくうちに切磋琢磨しチームの底上げとなり、互いに上達してきたんだと思います。
今後の目標は、ホンダチームの三重県三連覇を是が非でも成し遂げたいです。私は今年で最後(定年)となりますが、先ずはチーム優先とし、調子が悪ければ私は外れなければいけないと思っています。バイクと同じように勝負事には引き際が大事なんだと思います。
バイクの次に愛したスポーツとして、ふつふつと湧き出る勝負へのこだわりの気持ちは途切れません。
心の奥では、蜃気楼の出る焼けたアスファルトに変わり、ゼブラカットのティーグラウンドの上で、シグナルが青に変わる瞬間をずっと待ち続けていたいと思っています。
匠の心得 - 過去の掲載
- 2018年5月30日 UP
- 橋本 祐二 選手
(株式会社 橋本ターフ・コントロール)